水星は、地球から見ると白く輝いて見える天体です。
しかし、太陽のすぐそばで輝いているので見えにくく、
見えたと思ってもすぐに姿を消してしまいます。
また、太陽とは28度以上離れることがないので、地球からは、
太陽とともにどんどんその位置を変えているようにも見えます。
その動きのすばやさや、めまぐるしい輝きの変化から、
水星は俊足で抜け目なく動きまわる印象を与えます。
太陽の先駆けとなったかと思うと、ときには太陽につき従うため、
人間がこの世に生きるために必要な知識は
水星によってもたらされると考えられたのです。
その力とは水星に一番近い太陽の自己実現を助けるための能力、
すなわち思考力や理解力、認識力、判断力などです。
知識や情報を得るために必要なコミュニケーション能力も水星の管轄です。
人が社会的に活動するのに必要な能力や社会的に評価される能力、
つまり職業適性は、水星の星座宮で判断することも多いようです。
また占星術では、双子座宮と乙女座宮の二つの星座宮の主星となっています。
太陽を父、月を母とするなら、水星は子供とされます。
その子供のなかでも、兄弟姉妹という意味あいを与えられています。
太陽を男性、月を女性とした場合は、水星は中性的な存在です。
ですから、水星を人間に当てはめると、性別にはこだわらないで、
仲人とか弁護士といった仲介者に置き換えられることが多いようです。
年齢的には7歳から15歳といった、物心がつき、
知的好奇心が芽生え初めた時期を指します。
しかし、まだ他に対する思いやりや、
情緒的な感情は芽生えきっていない状態です。
水星がいい意味で働くときは、緻密さ、器用さ、
解析的といった部分が発揮されます。
逆に水星が悪い意味で働くときは、むら気、神経質、無神経、おしゃべり、
狡猾さ、偽善といった他にも、ミスが多い、高慢、
物事を正しく見ることができないなどといた面が表れやすくなるようです。
水星の英語表記はマーキューリーです。
マーキュリーは昔から商売の神様といわれていました。
多くの神話では、水星の俊敏な動きから太陽の伝令役であり、
意志伝達と知恵の神とされています。
ギリシャ神話ではゼウスの息子である知恵と預言の伝令ヘルメス神が
水星の象徴で、翼のある兜と履き物を身につけ、
神々の間を風のように走り回る使者として描かれています。